僕は考えた
大久保さんが揉めるな
と忠告してくれたのは
大久保さんの力が及ばないので僕を心配しての忠告と推定できる
僕が地元で好き放題に振る舞えるのは
大久保さんの影響力と
同級生の国田君や雄太の力が大きい
友達2人が帰った後
僕は池田に仕掛けられる予感がしたが
それは恐怖でなく
怒りというか武者震いに近かった
教子は僕の雰囲気を察してか優しく言葉をくれた
さんちゃん無茶はアカンよ
教子は前の彼氏と僕が争った時のことを思い出したようだ
月曜日の早朝に
教子の家を出て
小倉駅に向かう途中で
前方に
教子の友達2人と
一目で
その男が池田と判る
狂暴そうな男が見えた
僕はいつも両ポケットに入れているスパナを確認した
僕はスパナで自分以外の人間の顔を本気でぶちかましたことはない
池田の雰囲気から
こりゃ本気でスパナを使う日が来たことを覚悟した
この頃の僕は恐怖という神経が飛んでいたので
逆にスパナで殴られることも怖くなかった
ましては素手で殴られ袋にされるなんて茶飯事だったが池田の雰囲気は地元(下関)の半島の連中とも異質な雰囲気だった
池田の雰囲気が一触即発という雰囲気でないのを感じたので
僕はポケットから手を出した
いきなり乱闘になっても良い距離で自分から話しかけることにした
池田さんですよね
大久保さんから高名は聞き及んでいます
…高名
…聞き及んでいます
僕は中学生にしては言い回しは大人顔負けだった