東京証券取引所に立ちスポットライトを浴びても
笑顔の裏には
激しい思いが
胸を締め付けた
それは爽快とは程遠い
熱くドロドロとした気持ちだった
(見たか!この野郎)
幼少期から始まり
高校生になるまで言われ続けてきた
テメエ(僕)みたいなヤツはロクな大人になれねぇよ
中学校の頃の素行では今思えば
まだ納得できる部分は僅かだがある
…しかし…
あの由美子ちゃんとの2ヶ月だけは
どうしても許せない思い出だった
巨億の金銭を手にしても
世にいう名声を手にしても
満たされないざらついた気持ちが去就した
自分は
何をどこまで
どうしたいのか?
金銭かとも思った
名声かとも思った
…違う…
東京証券取引所から出て
ふと急に
転校して以来
20年間
決して近づくことのなかった
幸さんと由美子ちゃんの住んでいた
公団アパートに行きたくなり
新幹線に飛び乗った
グリーン車に
深く座り
目を閉じると
また
深すぎる哀しみが
押し寄せてきた