「康介、今日はやけに爽やかじゃねーの?」
「あ、そう? ボク、いつもこうだろう?」
「…言葉も何か変だし」
「まぁ、女子大に鎖つきの革ジャンで来るよりはマシでしょう」
「……昭彦、手に持ってるチケットの束は何ぞ?」
「気にしないで下さい」
「…………」
「あ、マネージャー達も今来たんだね?」
「あれ?チョーさん」
俺、倉沢諒司は、品川恵利花の大学の学園祭に呼ばれ、むさ苦しいヤツラと顔を突き合わせていた所だ。
「麻紀ちゃんや雛ちゃん達は?」
「もうとっくに来てるはずだよ。 オーナーと一緒に」
「へ?チョーさん、何でご存じなんスか?」
コルス厨房のチーフ、長島幸司はいつもの笑顔でそれに答えた。
「そりゃ、手島オーナーに聞いたからさ」
「それでついでに‥チョーさんも?」
「いや、オーナーがね、『諒司くんは危険だから見張ってろ』…だとさ」
「……なぜに?」
「芸能人が増えすぎたら困るからでしょう」
「昭彦、…おめーわ!」
ちょうど俺が峠昭彦に抗議しかけた時、エリカが手を振ってきた。
「イエーイみんな〜っ♪
ようこそ我が校へ!」
珍しくカーディガンにスカートのいでたちで現れた彼女。
凛々しい顔つきに、ホワイト系のコーディネイトがすっきりと映えていた。
「残りは…ミスコン位かな?」
「恵利花もノミネートされてたよねーっ」
「いや、二枚目コンテストの間違いだろ?」
「リョージ!何それ?」
「あ〜、もう始まるみたいですよ?」
九里麻紀のふんわりした声に促され、俺たちはミスコンの会場へと向かった。
「あーっ!いたいた!
品川さん、ダメよ〜顔見せしなくちゃ」
「え〜っ?日野センパイ、あたし名前だけじゃなかったんですかぁ?」
「もーっ!いいから早くいらっしゃい!」
先輩らしき女性に有無を言わさず引きずられていったエリカ。
あっけに取られた俺たちを残し、彼女はそのままお立ち台に上げられていった。