ゲルダは、暗い森の中へと入っていった。
一本の松明も持たずに。
それはあまりにも無謀なことではあるのだが、
彼は自覚していた。
もたもたしていると、ラーミアンに、あの怪物に、快楽殺人犯に追いつかれ、良いようになぶりごろされるだけだと。
それに、彼にはもう、森を迂回して進むだけのガッツなど残されてはおらぬのだ。
森の中は暗かった。彼は何度もこけそうになりながら、枝や葉を手で払い除け、少しずつ前に進んでいった。
するとゲルダは、森の中にぽっかりと空いた、空き地のような場所に出た。
空き地の中央には、いわくありげな小さな廟が据えられている。
ゲルダはしばし立ち尽くし、それをじっと睨んでいた。
かと思うとおもむろにその廟の扉を押し開きその中へと押し入っていった。