不良(しそうか)

どろぼう猫 2015-05-13投稿
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少年は親を捨て名前を捨て、自ら新たな名前を身に着ける。

14才の秋の事。

その日、家出をした彼は悪太と名を変え、世間にも社会にも背を向け、親にも頼らずに一人で生きていこうと決めた。

彼にはロボというあだ名の友人がいた。

ロボは悪太のただ一人の友達だった。

家出したことをメールで報告すると、顔文字付きで万歳と返信が来た。

思わす、悪太の顔がほころぶ。

悪太はまず、家を出たその足で、町で有名なやくざの家に向かった。

三ピンでも何でもいいから使ってもらおうと思ったのである。

ところが意に反して、そのやくざは豪華な造りの門のところまでジャージ姿で出てきて、悪太にこんこんと説教し、家に戻ってきちんと勉強をし、勉強が駄目ならスポーツをし、スポーツがだめなら部活に精を出し、部活も嫌ならぶんげいでもやって、

少しは社会の役にも立つ人間にならなければ駄目だと言った。

悪太はがっかりしてヤクザの家を離れた。

次に彼が向かったのは牧師の家である。

牧師さんはセーター姿で悪太を出迎え、彼にお茶とお菓子をご馳走して彼の話をきいてくれた。

悪太がこの世は腐っていると勢い込んで言うと、牧師さんもうんうんとうなづいた。



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