「なんでもいい。ひどく腹が減っている。めしを食わせてくれ。」ゲルダは主婦の顔もよく見ずに、ぼそぼそとしゃべった。
主婦は、「まあ、まあ」と呆れて言葉もない様子。
彼をこの家に案内した老人が、ランプの下の椅子をゲルダに勧め、栓をひねってランプに明かりを灯した。
ゲルダが椅子に座ると、老人は飾り棚のそばのもう一脚の椅子に自分も腰掛け、先ほどよりは打ち解けた様子でゲルダに話しかけてきた。
「さっきのおまえさんの三枚の銀貨、あれはどこでどうやって手に入れたんじゃね?」
反射的にゲルダは顔をしかめた。夢とうつつの入り交じる体験をどう説明するか、困難が予期されたからである。