逃亡記12

どろぼう猫 2015-07-10投稿
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「なんでもいい。ひどく腹が減っている。めしを食わせてくれ。」ゲルダは主婦の顔もよく見ずに、ぼそぼそとしゃべった。

主婦は、「まあ、まあ」と呆れて言葉もない様子。

彼をこの家に案内した老人が、ランプの下の椅子をゲルダに勧め、栓をひねってランプに明かりを灯した。
ゲルダが椅子に座ると、老人は飾り棚のそばのもう一脚の椅子に自分も腰掛け、先ほどよりは打ち解けた様子でゲルダに話しかけてきた。

「さっきのおまえさんの三枚の銀貨、あれはどこでどうやって手に入れたんじゃね?」

反射的にゲルダは顔をしかめた。夢とうつつの入り交じる体験をどう説明するか、困難が予期されたからである。

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