第二十五話 戦没した船と海員の資料館其の一
三人は一階のエントランスを通り、二階の第一展示室を見ていた。
「昭和十六年から昭和二十三年迄の戦没船の記録・・・」
影香「こんなに・・・」
京助は壁の金属板に写された在りし日の船の写真の数に驚いていた。
「あの太平洋戦争で沈んだ七千二百四十隻のね」
麻以が二人に説明する。
第一展示室には壁の写真だけでなく、在りし日の姿の船の模型や遺族から寄贈された遺品も展示されていた。
「船員の冬服・・・行先が南方だからと置いていかれた物・・・」
ケースの中に紺色の長袖の制服が置かれており、その横にある解説文を京助が読んでいた。
長くなるので二十六話に続く