「だからって、一人で日本に住むなんて言ってる事が無茶苦茶だよ」
「大丈夫よ、本当に一人な訳ないでしょ。」
と、答えてから母親は必死に訴える娘をよそに、隣に腰掛けていた父親へ同意を求め話し掛けたのである。
「ねっパパ、可愛い一人娘だものね」
それを聞き、彼女は心の中で呆れて呟いたのである。
(ホント……この夫婦は)
呆れているような彼女の表情をみてから、父親は声を掛けたのである。
「安心しなさい」
声のする方を見て、彼女はおもいっきり疑いの眼差しで父親をみた。
父親は疑いの眼差しを受けながらも微笑みながら答えたのである。
「その顔は、パパたちの事疑っているな」
「……そんな事はないけど」
彼女はテーブルに目を逸らせながら父親に答えたのだった。
この言葉とは裏腹に彼女は心の中で思ったのである。
(その笑みが、怖いのよ。ろくな事にはならないから……)