−久しぶりに帰ってきた…。いつぶりだろうか。村の様子は随分変わっている。なんというか、寂れていた。
村の入り口から数メートル歩くと、今も変わらずオレと家族が住んでいた家がある。その前には、小さな木があったのだが、今はすっかり大きくなっている。その木に触れて感慨に耽っていると、見知らぬオッサンが話しかけてきた。
「よぉ、見ない顔だね。旅の人かい?」
オレは、正直に答えた。
「オレ、昔この村に住んでたんです。ちなみに、後ろの家に住んでました。でも、随分変わっちまいましたね…」
オッサンは、ふんふんと頷いている。
「そうだな〜。まあ、オレが来たときはもうこんな有り様だったんだけどよ、兄ちゃんが住んでいた頃は、『アレ』で潤ってたんだよな」
オレは頷いた。
「『アレ』を求めて、オレも移り住んできたんだけどな。もうとっくに無くなってたよ。最近は、迷い込んでくる化物と戦って、落としたアイテムやらをたまに来る行商人に売って、暮らしているんだ」
「そうなんですか。オレは今、冒険家みたいなことをやってるんですけどこの村にまたちょっとの間だけでも、住んでもいいですか?」
オッサンは再び頷いた。
「いいに決まってるじゃないか!もともと、兄ちゃんの故郷だろ?」
「ありがとうございます。助かります。今受けてる仕事の目的地がこの村から近いんですよ。そうだ、まだ自己紹介してなかったですね。オレは、シバ・シトラスって言います」
オッサンは目を丸くした。何かおかしなことを言っただろうか?
「兄ちゃんの親父さん、もしかしてシバ・リダルじゃないか?オレの親友だ」
今度はオレが目を丸くした。親父は、昔のことは何も話さない人だった。
「そうです!偶然ですね!」
「オレの名前はレオン・タイムってんだ。これから、よろしくな」
そう言って、レオンとオレは握手をした。 続く…