男が、ふと気がつくと長い長い列に並んで居た。
ふと見上げた空は、どんよりと曇っている。
「何で俺は、こんな所で並ばなきゃならないんだ。」
前には、年配の男性が、後ろを振り向くと、若い女性が、虚ろな目をして立って居る。
声を掛けても、返事が無い。
只、前が動くと、少し前進して行くだけ。
何も、面白い事は無く、列の先頭が何処なのかも、解らない。
男は、唯一、この列で意識を持って並んでいるのだ。
「馬鹿馬鹿しい。」
男が、そう思うと空から、雷が男をめがけて落ちて来たのだった。
次の瞬間、男は列からハミダサレ、一人列を眺める事と成った。
「列の先頭迄行ってみるか。」
男は、数日をかけて歩き続け、やっと先頭を見る事が出来た。
男が、目にした物とは。
人生の終点と、書かれた板と、順序よく落ちて行く、人の姿だった。
「そういった事か…」
急いで来る事も無かったかなと思いながらも、男は列に戻り、崖から落ちて往ったのだった。