?崖淵斜陽館…其の壱

亜樹  2006-09-24投稿
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男が、ふと気がつくと長い長い列に並んで居た。

ふと見上げた空は、どんよりと曇っている。
「何で俺は、こんな所で並ばなきゃならないんだ。」

前には、年配の男性が、後ろを振り向くと、若い女性が、虚ろな目をして立って居る。

声を掛けても、返事が無い。

只、前が動くと、少し前進して行くだけ。

何も、面白い事は無く、列の先頭が何処なのかも、解らない。


男は、唯一、この列で意識を持って並んでいるのだ。

「馬鹿馬鹿しい。」

男が、そう思うと空から、雷が男をめがけて落ちて来たのだった。

次の瞬間、男は列からハミダサレ、一人列を眺める事と成った。

「列の先頭迄行ってみるか。」

男は、数日をかけて歩き続け、やっと先頭を見る事が出来た。

男が、目にした物とは。

人生の終点と、書かれた板と、順序よく落ちて行く、人の姿だった。

「そういった事か…」
急いで来る事も無かったかなと思いながらも、男は列に戻り、崖から落ちて往ったのだった。

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