あなたの声に

 2006-09-24投稿
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佳奈美ドコかな?

私は、吹奏楽部を取り囲んでる人達の
間から顔をヒョコヒョコ顔出し、
必死に姿を探した。


全然見えない。


人混みは苦手だが、少しかきわけながら、
前へ前へと進んで行った。

「千鶴?」

声の方へ振り返ると、

佳奈美が、興奮したような顔つきで私を見ていた。

「千鶴〜、遅いぞ〜w」

「あ〜、ゴメン。
 てか、興奮してどうしたの?」

「どうしたもこうしたも、やっぱ吹部はスゴイよ!この高校に入ってよかった」

佳奈美は幸せそうな顔で演奏に聞き入っている。


私には専門的なコトなんか全然わかんないけど、ここの吹部は上手いってがわかる。

(CD聞いてるみたい・・・)

〜♪〜♪


聞いたことある曲。


あ・・・


急に記憶がフラッシュバックする。


歓喜にわく私の仲間達。

コートに倒れこむ自分。

一瞬にして静まりかえる。

「テニスはもうできません」

医者の氷のように冷たい顔。

泣き叫ぶ私。




「千鶴・・・?
 大丈夫?」


佳奈美が心配そうに私の顔を覗きこんできた。


「あ、うん。
 全然大丈夫」


「ほんとに?
 なんか顔青いよ?」


「大丈夫。
 なんかあの時のこと思い出しちゃって・・・」


佳奈美は、悲しそうな顔をする。


「そっか・・・。
 ホラっ、演奏聞こうよ!」

佳奈美は前に向き直った。


この曲・・・

そうだ、病院の帰りに車の中で流れてた曲だったっけ・・・。









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