「ねぇ、翠。その彼の写真って今、持ってる?」
興味深々で聞いてみたが、その日はあいにく
持っていなかったようだ。
(うーん、翠のタイプってどんな人かなぁ?)
帰り道考えながら歩いたが、楽しみにしておく
ことにした。
梨香の学園生活には、何ら変化が無かったので、
また、例の喫茶店に寄り道することにした。
「やあ、いらっしゃい!」
店に入ると、徹が片隅に座っていた。
嬉しくなって梨香は、すぐに徹に話かけた。
「まだ、脚の具合良くないんですか?」
「うん。実は今度の日曜デートなんだけどね。
なかなか良くならなくて困ってるんだ。」
「そうなんですかぁ…。困りましたね☆」
(え!?デートって、今言ったよね?)
梨香は、内心ショックを受けていた。
(そう言えば、翠もデートすると言ってた。…
まさか、もしかして…。)
「お相手の写真て、今ありますか?」
梨香は、少し取り乱して、尋ねた。
「うん。この娘だよ。可愛いだろ?」
そこには、いつも見慣れた翠の笑顔があった。
[続く]