指揮命令系統の完全な破壊と通信網の遮断に成功した革命教団は更に首都の制圧を急いだ。
革命教団の暫定リーダーであるハーツの指揮の下、事象発生の30分後には議員全員を評議会にて拘束し、軍の総元帥であった川崎大信をクーデターの首謀者と仕立て上げた。
ハーツは軍の即時武装解除と国家の解体、新国家樹立の承認を迫ったが議会の一部が激しく反発・抵抗した。
議員の中には軍出身者もいたがそれ以上に何かしらの武術、護身術を心得ている者も多くまた、革命教団には素人出身の者が多数含まれていたため、議会は銃声や悲鳴が飛び交う阿鼻叫喚の状況となった。
しかし、議会の3分の2はすでに革命教団の協力者であった。
結果として評議会の3分の1の議員を殺害する事態となったがハーツは川崎に市民の安全を確約することを条件に軍の解体の承諾を得、また革命教団に協力していた議員たちの手により手続きは勧められた。
川崎はハーツに対して忠誠の意を示す議員たちに呆れ果てた。
「何ということだ・・・誇り高き我らの評議会もここまで墜ちたとは・・・」
新国家樹立の宣誓書が採択された頃・・・。
連邦公国首都が革命教団による総攻撃を受けているとの報せが公国軍統括司令府に届いた。
最初の攻撃から3時間は経過していた。
統括司令府も革命教団の度重なる攻撃により、防戦一方となりつつあった。
軍上層部が殆ど拘束されてしまった今、統括指令府では部隊の再編成がなされロイ・コリンズ大佐をはじめとする諸将たちが反攻作戦に向けて準備を進めていた。
総合司令室では多くのスタッフの怒号が飛び交っているが事態が進展する様子はない。
司令室の一角で報告を受けていたロイは落ち着いた口調で部下に指示を出した。
「セントラルシティへ決死隊を派遣する。今から先行する精鋭30名ほどを選出しろ。」
指示を受けた部下が立ち去ろうとした瞬間、何かを思い出したように付け加えた。
「あぁ、峰崎龍雅をここへ呼べ」
医務室より、傷の手当を受けた峰崎龍雅が司令室へ呼び出された。
「ロイ、話は聞いたぞ。傷は大したことはない。」
龍雅は勇み足でロイに迫る。
「貴様には重要な任務をやってもらいたい」
龍雅は頷いた。
「行くんだな?覚悟はできている」
ロイは首を横に降りこう続けた。
「行くことに間違いはない。少し、行き先が違うだけだ。貴様には戦艦扶桑に潜入し、中から破壊してもらう」
「!?・・・できるのか?」
龍雅は目を丸くして驚いた、ロイは表情一つ変えない。
「決死隊の編成を完了した。これより作戦会議を始めるゆえ、ついて来てくれ」