イヤホンをそっと外し、二人に近く
「ここを離れる。残念だがもうお前達しか残っていない…だからもっと安全な所へいくぞ」
二人を連れて外へ出て、崩れた本堂の方を見ると巨大な仏像が現れた
「何だあれは…」
.
「兄上の阿修羅だ!」
「阿修羅の第二組の手は絶対防御だから無敵なんだよ!」
チラッと弟子を見るが、首を傾げるだけだった
「もう大丈夫だよ!兄上の所へ行こうよ!」
「なるほど…発動中はどんな攻撃も通さない能力か…だが、瀕死の状態には変わりはない」
闇の手が駒鳥と天女魚の死体を掴んで闇の中へ消えた
「この地に核を落とす。斑鳩と大和家を完全消滅させる」
能力協会が去ってしばらくすると八重桜の阿修羅が消えて倒れる
「駒鳥…天女魚…すまない」
しばらくしてオルゾ達が八重桜の所へ到着した
「兄上!」「師匠!」
オルゾが抱き抱える。するとうっすらと瞼を開ける
「私と牡丹の…魔痕を…ムカイに移す」
「移すってこいつは大和家の人間じゃない!呪いが掛かるし、それに何の意味があるんだ!」
「大和家の血と…魔痕を残す為だが、牡丹はまだ幼い…大和家の全てを押し付けるのは厳しい…だから牡丹には魔痕のない…普通の生活を送ってほしい」
「いや、だからといって血縁のない者に魔痕を押し付けるのは間違っている!」
ムカイの頭に手を乗せる
「この子は大丈夫だ…呪いを受けないように大和家全員の血を入れてある。それに戦闘術も叩き込んだ…」
オルゾがムカイの肩を掴み、向き合わせる
「君はそれでいいのか?もし呪いが掛かれば死ぬまで苦しむ事になるんだぞ!」
「ボクは大丈夫です」
「この子の両親は能力協会に殺された…」
「!」
「この子の両親と大和家は昔から交流があり、大変お世話になっていたんだ…しかしある日、両親からもしもの時はこの子の事を頼むと言われた。1人で生きていけるように」
彼の瞳の奥に小さく燃える復讐の炎が見える感じがし、肩に置いた手を離した
「では始めるぞ…牡丹、魔痕を発動するんだ」
瞼を閉じ、一呼吸置いてゆっくり瞼を開ける。すると両方の瞳に魔痕が浮かび上がっていた
「前までは片方だけだったが、まさか両目に魔痕が発動するとは…」
大和家一族で両目に魔痕を発動させたのは牡丹が初めてだった
「まずいな…受け継ぐ魔痕の数が合わない…」