自分より小さいが長時間背負い歩くのはかなりの疲労だ
ムカイの体力は限界を迎えていた。
「ここでいいのか…」
森林にひっそり佇む建物にたどり着いたが、玄関で力尽きて倒れた
「あれ?誰か倒れてますよ室長」
買い物袋を持つ女の子が室長と呼ぶ人物はすぐに察しがついた。
「ミント君、倒れてるガキ共を部屋に連れて行って治療してあげなさイ」
ミントと呼ばれた女の子が持っていた買い物袋を室長が持って部屋に入って行った
「これで良し!」
手際よく治療を終わらせ、室長にコーヒーを届ける
「怪我の程度ハ?」
「二人共目立った怪我はありませんでしたが、小さい方は力を急に無くした為に気絶してしまったと思われます。ですがもう一人は…」
オルゾの携帯をいじっていた室長と思われる人物はコーヒーを一口飲んだ後、助手のミントの言おうとした事がわかっていた
「瞳にある模様が消えない。まだコントロールが出来ないんだろウ…」
「何で分かったんですか?」
オルゾの携帯の画面を見せるが数字とアルファベットがぐちゃぐちゃに並んだだけの画面でミントは全く意味が分からなかった
「これはアイツが作った暗号だ。私しか解読出来ないようになっていル」
ミントが不思議そうな顔をしている。当然何で室長しか分からない暗号なのか聞いて来るだろう…しかし、室長は聞く暇を与えず話し出す
「あの二人を長く此処に置いておくのは危険だ。特に魔痕のガキは早く違う場所に移さないとまずいネ」
そしてその日の内にムカイを青森にいる親戚に預け、牡丹を施設に預けた。その夜、実験室で横たわる女の子を見つめる室長がいた
(そっくりだネ…)
「熱い…目が熱い…」
能力協会を逃げたオルゾは魔痕の拒否反応と闘っていた。
「あぁぁああぁ!!!!」
悶え苦しむ中、一人の男が近づいてきた
「あれ~?何故空き家に能力協会の人がいるのかな~?」
軽くバカにしてる嫌な言い方で近づいてきた男。その男も元能力協会の人間…と言えるか微妙だが少し前まで一緒にいた仲間だった
「ヴァン.スティール…偶然にしてはタイミングが良すぎるな…」
「貴方はもう能力者として終わった。闘う事の出来ない体に出来る事はない」
そう言って立ち去ろうとした時、オルゾが目から血を流しながら呼び止める
「おい…このまま終わる訳ないだろ…」
左右に首を振り、何をバカな事をみたいなリアクションをする
「身の回りの世話なら可愛いメイドを沢山雇ってやってもらいな」
ヴァンの目の前に炎の獅子が立ち塞がるが大きさが全然違うのに気付く
(約2倍はあるな…それに獅子から伝わる禍々しいオーラは何だ?…まさか魔痕を自分の物にしたのか…)
魔痕の呪いを受けながら魔痕の力を手に入れたオルゾは笑っていた
「能力者として終わった?呪いによって命が削られようと私は必ず魔痕を完璧に使いこなして見せる!そして…能力協会の野望を潰してやる!だから私と組め!いつか見せてやるよ…世界が変わる時を…」
そう言ってオルゾはそのまま倒れた
「言うだけ言って倒れるってズルイなぁ」
その後オルゾとヴァンは契約を結び、AIチップを集める事になる
そしてムカイは青森で数年過ごした後、再び斑鳩の地に戻る事になる