「黒嫣砲!!!」
黒い炎を纏い駒鳥に飛びかかるが駒鳥は斥力で突き放そうとする。だが渾身の技は斥力に負ける事なく駒鳥に近づく
「はぁぁあぁあぁぁ!!!」
もう少し、もう少しで届く!駒鳥に渾身の一撃を…
「よくやったが届かない」
斥力の力に負け、魔獄手が砕け落ちる。だが至近距離にいる駒鳥に向かって掴みかかる
「お前の負けだ。これ以上やると今度はお前の体が砕けるぞ」
ムカイの胸に手を当て、斥力を発動する。自分の胸にとてつもない衝撃がドン!っと受けた後吹き飛ばされた
137がハーデスに抱きつき涙を流す。ハーデスは137の頭を撫でる
「奴の負けだ…奴のナ…」
137を引き離し、ムカイの方へ向かせる
「何故だ!何故お前が!」
駒鳥、ハーデス、137の視線が倒れいるムカイではなく上を見ていた
「初めから駒鳥さんに勝てない事はわかっていたけどここまでボコボコされるとは…自分を過剰評価してました」
ゆっくり立ち上がるとうっすら見えていたものが徐々にはっきり見えてきた
「何故お前が阿修羅を使っているんだ!」
はっきりと姿を現した阿修羅が駒鳥を見下ろす
「師匠に引き継がれました。師匠は私が駒鳥さんや天女魚さんと闘う事を予想していた為この阿修羅を私に…」
「ちょっと待て、兄上は死んだという事か…」
空気が変わった。悲しみから怒り、憎しみに満ちたオーラが漂うが恐怖感は全く感じない
(普通なら恐怖で動けないはずが阿修羅がいると全く怖くない…阿修羅だけじゃなく師匠が後ろに立ってくれているみたいだ…)
阿修羅の第三組手がゆっくりと動き始める
「まずい!」
弓を構え、矢に凄まじいエネルギーが込められる
(あの矢の力は絶大だ…止められるか)
すぐにムカイに向かって走り出すが既に遅かった。凄まじいエネルギーの光の矢が放たれた
「うおおおお!!!!!!」
斥力の力を最大限に使い引き離しにかかる
「終わったネ…」
地面をえぐり斥力の力をもろともせず突き進む光の矢に駒鳥が耐えられなかった
(兄上…)
後ろに立つ阿修羅がゆっくりと消えてゆく。ムカイは阿修羅に向かって深々と頭を下げた
「師匠ありがとうございました…」
横たわる駒鳥がムカイを呼ぶ
「頭がスッキリしている…私を操っていた能力が解けたようだ…」
「駒鳥さん…」
「お前には悲しい事ばかりさせてしまって申し訳ない…」
しばらく会話した後、駒鳥は動かなくなった
「辛い後始末だナ」
ハーデスと137がムカイの下に近づくとムカイが大の字に倒れる
「大丈夫か!」
137が抱き抱える
「大和家のバケモノ二人を相手にしたんだ。体力を使い果たして倒れるのは当然だナ」
「ハーデス…体力を回復する物を…」
「私は医者ではない科学者だ。ゲームの回復薬や魔法のようなものなどないネ」
「まだ残っているんだ…行かないと…」
立ち上がろうするが力がなく137にもたれ掛かる
「何とかならないの?」
娘の上目遣い、うるうるした瞳に屈する筈のないハーデスが負けた
「仕方ないネ…」