シェイルのストライカー『バロンドール』は敵の大群をかき分けながら統括指令府から出撃した。
数多に渡る敵の空からの追撃も時には撃墜、時には回避しながらやがてその眼下には敵陣営の手に落ちた巨大空中要塞が姿を現した。
「ダメだよ龍雅!!砲撃が激しくてこれ以上は近づけないのさ!!」
シェイルは巨大空中要塞『扶桑』に対して直上からの急降下を試みていた。しかし、既にバロンドールを察知していた敵陣営からの砲撃は開始されており、紙一重での回避を繰り返しながら降下を続けていた。
「よくやった!!ここから俺は降下する!!援護を頼む!!」
「は!?まだ距離は結構あるのさ!!うまくいくわけがない!!」
砲撃、爆発音が激しいゆえに二人の会話は大声でやっと聞こえる程度であった。
狭いコックピットの中ですらである。
龍雅が降下を開始しようとしているポイントは扶桑までの距離としてはかなり遠い。風も強い。
しかし、敵航空戦力の状況を鑑みると更なる接近は不可能と判断された。
「ハッチを開けろ!!俺がダイブしたあとは援護しつつ少しずつこの場から離れるんだ!!」
「わかったのさ!!もうどうにでもなれ!!」
シェイルは半ばヤケクソになりながらハッチを展開した。完全に開いたその瞬間、龍雅は降下を開始した。
(クソ。やはり成功の確率は大してない。頼んだぞシェイル)
バロンドールはすぐにハッチを閉じると援護射撃を開始した。
しかし、相手の物量には遠く及ばない。
「私たちも援護します!!」
通信越しに突然聞こえた第三者の声。
ロイが要請していた応援部隊が扶桑に総攻撃を開始したのだ。
複数機が散開し陽動を行っている。
その後、龍雅は軌道修正を図りつつもパラシュートを展開。
敵の攻撃を回避しつつ扶桑のデッキに降下することに成功した。