空中戦艦要塞『扶桑』に潜入した峰崎龍雅は
艦内に張り巡らされた触手のトラップを掻い潜り、
戦艦の動力ブロックにたどり着く。
「この壊れかけの扉を・・・開けてはならないような気さえする・・・」
龍雅は特に第6感が優れているとかそのようなことはない。
ただ、扉の奥から漂わせている空気には龍雅自身がかつて感じていた
『危険』が潜んでいることを理解していた。
扉の電子ロックは壊れているため、
錆び付いて動作不良の鈍器と化した銃器で扉を突き破った。
扉は砂壁を崩すかの如く脆く崩れ去り、かつて動力部が鎮座していた大きな空間が現れた。
しかし、そこにはかつて存在した機械系統は根こそぎ無くなっており、
禍々しい紫と血肉に覆われた空間の中央にはヒトの心臓を連想させる
巨大な袋状のものが鎮座していた。
この袋はヒトの心臓と同じように躍動している。
「この袋に見覚えは無いはずだが・・・俺はこれを知っている・・・」
龍雅は空間の中央に少しずつ歩を進めるとやがて耳鳴りの
ような物を感じた。
「ああ・・・龍雅・・・待っていたわ・・・」
龍雅が耳鳴りを感じた直後、自身は金縛りのように四肢のコントロールを
奪われる感覚が襲った。
「ぐぅ!き、貴様は!この声は!お前か!」