路面の至るところが崩壊しているなか、黒煙を上げながら駆け抜ける4輪の軍用車が一台。
ハンドルを握っているのは結奈であった。
「もう・・・何で私が車を運転しなきゃいけないのよ〜。」
後部席で何やら作業をしている綾香が話かけた。
「結奈ちゃんめっちゃ筋ええやん!アタシの指導が上手いんやな!で、何か言った?」
「何でもない!」
路面は常に凹凸が激しく、地肌や陥没も激しい。綾香は後部席から時々身を乗りだし指示を与える。
「シェルターの裏側に丁度乗り捨てられていた車があったのは幸いやったで!ちょっと配線を交換したらエンジン掛かったしな!」
「綾香さっきガンガン車叩きまくってたよね?」
ガハハと高笑いする綾香に結奈は冷ややかな視線を送る。
「な、何やねん。まあ、このまま進めばもっと大きくて頑丈なシェルターがあるからこのまま突っ込んで保護してもらうで!」
それから1分程車を走らせると道路を遮るように巨大な塊が砂ぼこりの中から現れた。近づくと破壊されたストライカーが2機と乗り捨てられたストライカーが
2機が横たわっている様子を確認した。その周りに右往左往し狼狽する逃げ遅れた住民複数名の姿もあった。
「なんや武装はして無さそうやな。結奈ちゃん、ちょっと止めて。」
綾香は車が停車したと同時に降りて住民たちに近づいた。
「怪我人はいますかあ?アタシたちこれから・・・」
その時、綾香は住民たちから放たれた異様な雰囲気を察知した。
「あかん!結奈ちゃん!!バックや!!アタシは放っといて逃げえ!」