「結奈ちゃん!!起きてや!このままくたばったら元も子もないで!」
人ならざる集団から軍用車を用いて逃走を図った結奈と綾香だが結奈はハンドル操作を誤り、スピン。そのまま気分不良で気を失ってしまった。
綾香は結奈を叩いて逃走を図ろうとするが瞬く間に集団が二人の行く手を阻んだ。
「まだや!まだ終わらんど!」
軍用車が接触した物体は乗り捨てられた警備隊のストライカーであった。
気絶した結奈を脇に抱えて、片手に小銃を構え応戦しながらコックピットに収まった。
「まだ電源生きとるわ!装備が弱すぎやけどさっきのよりはマシや!」
綾香は速やかにトグル、キーボードを操作しストライカーの電源を回復した。
ハッチがクローズド状態になるとストライカーは自立した。この時点でコックピット内の室温が急上昇し綾香はこのストライカーが放棄された理由を理解した。
「ええ!?冷却システム壊れとるやないか!もう一か八かや!」
この警備隊のストライカーには高速移動出来る機能は元々装備されてはいない。
綾香はとにかく出来る限りの操作を駆使し全力疾走で正面突破した。稼働時間の経過と共にコックピット内の室温は更に上昇した。ストライカーに乗り込むことで敵の攻撃は無力化出来たが追跡を逃れるほどのスピードは出せなかった。先ほどの軍用車の方がまだ逃れられる可能性があったくらいだ。綾香は再び乗り捨てた軍用車の方へストライカーを転身させるとたまたまストライカーが装備していた投擲爆薬を軍用車目掛けて投げつけた。爆薬は接触と同時に炸裂し、包囲していた敵勢力を完全に肉塊へと変貌させた。軍用車に積まれた燃料と弾薬への引火を狙い、綾香はこれを成功させた。ストライカーのハッチを開け、綾香は被害状況を確認した。
「何とかこの状況を切り抜けたみたいやな・・・」
綾香はオーバーヒートにより動けなくなったストライカーを放棄し結奈を背負うと再びシェルターへの保護を求めて歩き出した。