ねぇ?神様が何か一つだけ願いを叶えてくれるとしたら何をお願いする?」
「麻衣の声が聞いてみたい。」
アタシの名前は松坂麻衣。
ついこの前まで普通の高校生だった。
普通の高校生って言い方も変だけど。今は定時制って言って、働きながら高校に通ってる。
別に、いぢめに合ってたわけでもないし、悪いことして辞めさせられたわけでもない。
親父が、友達の保証人になって家にお金なくなっちゃって・・。
高校の授業料が払えなくなったんだ。
弟タチはまだ義務教育真っ只中だしー。
結局アタシがこうするしかなかったってわけ。
あ・・別にだからってどうって訳じゃないね。悲劇のヒロインでもないし。
定時制っていろんな人がいて、刺激があって結構楽しいし。
恋をする余裕なんてナイって思ってた。
だって、毎日の生活でイッパイx2だったし。
そんな中で見つけた一人の人。
授業が始まる前の、オレンジ色に染まった図書館。
あまりにも静かで、凛としたその横顔が綺麗で。
そこだけ時間が止まってた。
そのときから、アタシは彼を目で追うようになったの。