キミの手を忘れない。?

MATSUMAYU  2006-09-25投稿
閲覧数[455] 良い投票[0] 悪い投票[0]

それから毎日彼を目で追ってた。

食堂。

階段。

渡り廊下。

サーチライトのあたる夜の校庭。

体育館。

どんなに遠くにいても彼は目に付いた。


真っ直ぐ前を見て、背すじをピンと伸ばして歩いていたから。

最初は遠くから見てるだけで幸せ。

でもそれだけじゃ物足りなくなる。

そばに行きたくなる。

触れたくなる。


コレってきっと恋なんだよね。ウン。


そんな日が2ヶ月くらい続いたある日。

校舎が違う彼がアタシの校舎の方へ歩いてきた。

チャンス!!絶好のチャンス!
このチャンスを逃したらもう無いかもしれない。

アタシは精一杯の勇気ですれ違いざまに話しかけたんだ。

「セ、セ、センパイ!!おはようごじゃいます!!」

ヤベっ!噛んだ。

思い切り無視された・・・。

アタシと先輩しかその場にいなかったのに、チョット振り返るコトすらしてもらえなかった。


アタシが、コソコソ見てたの気付いてて・・。
キモイって思ったのかもしれない。
こんなことなら、話しかけなきゃ良かった。
告ル前にダメじゃん・・・。
サイアク・・・。

授業どころじゃなかった。


アタシ・・・。
思ったより、凄く好きになってたのかもだ。
そう思ったら、じわ〜って泣けてきた。

「まいったなぁ・・・」



それから2日。
アタシが失恋のダメージと戦っているときのこと。

クラスメイトの亜子が走ってきた。
「麻衣!知ってる??アンタの好きなあの先輩って・・・。耳聞こえないんだって!!」

「え?」

彼は、先天性の障害で耳が聞こえず、言葉も話せない人だったの―。

i-mobile
i-mobile

投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 MATSUMAYU 」さんの小説

もっと見る

恋愛の新着小説

もっと見る

[PR]


▲ページトップ