あなたの声に

 2006-09-25投稿
閲覧数[304] 良い投票[0] 悪い投票[0]

急に倦怠感が波のように
私の体に襲ってくる。

そして、音楽室に向かっていた足は、
いつの間にかテニスコートの方へ向いていた。


いつものところで腰をおろす。

遠くで太鼓の音が聞こえる。



「こんなんじゃ変われないよ
この弱虫」


誰かに言われたような感覚。


その言葉は自分が自分に言ったことだ。


涙が目の前を覆う。


大粒で、あったかい。


「うう・・・ひぅ・・・」


このテニスコートを見て卑屈になった。

悲しくもなった。

嫉妬もした。

でもココで泣くのは初めてかもしれない。



こんなとこ見られたら変に思われるだろうな・・・。

私はヒザに顔を埋めた。



どのくらい泣いただろうか。

いつしか太鼓の音は消えていた。

テニス部の掛け声しか聞こえない。



きっと、ドラムの人が練習してたのかもしれない。

ああ、帰っちゃったんだ。

顔をあげてみる。

冷たい風に涙で濡れた頬がさらされて、
ヒヤリとする。


その冷えた部分をまた暖かい涙が流れる。



「ねえ」


急に声をかけられ、私はバッと立ち上がる。


私は顔を見てハっとした。
ドラムの人だ・・・。


「大丈夫か?」

ドラムの人は近くで見ても、
やはり端正で、イケメンとしか
言い様がなかった。


「はい・・・大丈夫です・・」


「でも・・・泣いてる・・・」


あ、そうだ。

私泣いてたんだ。

あ〜ぁ。

今の私不細工だろうな・・・。

私はがっかりして、下を向いた。









i-mobile
i-mobile

投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 ち 」さんの小説

もっと見る

恋愛の新着小説

もっと見る

[PR]
荒木さやかchan
プロデュースバスソルト


▲ページトップ