君を乗せて

みな  2006-09-25投稿
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−2年前−


あなたは明日

遠くにいってしまう

私の前からいなくなってしまう

毎日バイクの後ろに乗せてくれたね

そしてバイバイするときには

いつも抱きしめてくれたよね

-------

次の日泣きながら「いかないでよ」と言う自分勝手な私を

いつもより強く抱きしめてくれた

電車がくるまでずっと強く抱きしめくれた

カンカンカンカン

警報が鳴る

ガタンガタンガタン

段々音が大きくなり、電車が近づいてくるのがわかる

あなたが私を抱きしめる力が強くなる

私の目からは更に涙が溢れてくる

プシューとドアが開く音がした

いつの間にか電車が駅についていた

彼は私を離し、顔を見ずに振り返り電車に乗った

私は泣くことしかできなかった

最後は笑おうって決めたのに…

ピー---

笛が鳴る
−その瞬間

彼が振り返り、大きな声で

「全然に迎えに行くから。俺がもっともっと大人になって、お前に似合うようないい男になって迎えに行くから、だから…」

プシュー

彼が喋っている途中で無謀にもドアが閉まってしまった

彼が窓に張り付きドンドンとドアを叩く音が聞こえる

そして、声が微かに聞こえてくる

でも、その声が小さすぎて何を言ってるかわからない

多分、口を見ればわかると思う

でも、私にはできなかった

彼の顔を見るのが恐かった

今見たら…絶対に彼を追い掛けたくなるから…

電車が動きだした

彼がドアを叩く音が強くなる

お願い…止めて…

電車の走る速度が速くなり、

彼が乗ってる車輌が離れていく

そして、最後の車輌が私の前をすぎたとき

ふわっと彼の香りがした

その香りが…私の心を締め付けた

もう…バイクの後ろには乗れないのかな

もう…声を聞くことができないのかな

もう…

言い出したらきりがないくらい、

たくさんの思いが溢れてくる

そしてあなたの声、顔、香り…彼のすべてが私の心を締め付ける

−そして今

いつか彼が

「ただいま」

といって、笑いながら帰ってくる事を信じて
生きている

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