学は少し離れた場所から莉央の居る方向に一生懸命にゼスチャアをして見せた。
(ゴメン。後で、電話するから)
そういう様な意味合いのゼスチャアをして見せる。
もちろん、莉央にはまったくわかる訳も無い、ムチャクチャなゼスチャアなので、当然、学の行動の意味合いがわからなかった。
怒りがこみ上げてきた。
(なんで? あたしが彼女でしょ! ハッキリ態度で見せてよねっ、学くんのバカァァァ!)
気がつくと、拳をおもわず、机に打ち付けていた。周りにとてつもない音が鳴り響き、その音は食堂に居た学生たちにも聴こえ、ざわつきだした。
(……痛い、痛いすごく、痛いよ)
その場で動けずに少しまが立ってから、情けないが、心の中で手の痛さを噛み締めて、机からおそるおそる腕を下ろし、やせ我慢していた痛みに耐えかね、手をブラブラと左右に振っていた。
(自分でやった事だけど恥ずかしいし、ものすごく手が痛いし、あたし、今すごく情けない。ハァ)