オバケ12

はこもの  2006-09-26投稿
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終わりは突然やってきた。

オバケが死んだ。


朝、テレビをつけるとニュースでやっていた。

拳銃で自らの頭に向かって発砲したようです。


警察によると、それは疑いの余地なく自殺らしい。

僕は信じられなかった。

自殺?オバケは絶対に引き金を引かないと言った。

これは絶対に自殺じゃない、と思った。

他殺でもないし、事故でもない。じゃあ一体なんだ。

根拠はないが、とにかく自殺ではないということしかわからなかった。






その日の夜、僕はいつもの居酒屋に行った。

「今日はいつものお友達は来ないんですか」オヤジが聞いた。

「うん」僕は答えた。「今日は来ない。明日も来ないし、明後日も来ない。たぶん、もう来ない」

オバケが隣で飲んでるような気がした。しかし、そこには誰もいなかった。その影さえない。

「どうかしたんですか」

「わからない」僕は言った。「でも、もう来ない」

「はあ」

僕は居酒屋を出た。




すべては消えた。

オバケや、彼の過去、思想、そして現在の生活。


何でもいつかは消える。全部、消滅する。

きっと、彼は消えるべくして消えたんだ。

夜の風がそう言った。


僕もいつかは消えるんだ、と思った。

それが遅いか早いかの問題なんだ。消えてしまえば、そこに意味なんてない。


「さよなら」僕は呟いた。



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