終わりは突然やってきた。
オバケが死んだ。
朝、テレビをつけるとニュースでやっていた。
拳銃で自らの頭に向かって発砲したようです。
警察によると、それは疑いの余地なく自殺らしい。
僕は信じられなかった。
自殺?オバケは絶対に引き金を引かないと言った。
これは絶対に自殺じゃない、と思った。
他殺でもないし、事故でもない。じゃあ一体なんだ。
根拠はないが、とにかく自殺ではないということしかわからなかった。
その日の夜、僕はいつもの居酒屋に行った。
「今日はいつものお友達は来ないんですか」オヤジが聞いた。
「うん」僕は答えた。「今日は来ない。明日も来ないし、明後日も来ない。たぶん、もう来ない」
オバケが隣で飲んでるような気がした。しかし、そこには誰もいなかった。その影さえない。
「どうかしたんですか」
「わからない」僕は言った。「でも、もう来ない」
「はあ」
僕は居酒屋を出た。
すべては消えた。
オバケや、彼の過去、思想、そして現在の生活。
何でもいつかは消える。全部、消滅する。
きっと、彼は消えるべくして消えたんだ。
夜の風がそう言った。
僕もいつかは消えるんだ、と思った。
それが遅いか早いかの問題なんだ。消えてしまえば、そこに意味なんてない。
「さよなら」僕は呟いた。