目が覚めると、私の声は元に戻っていた。
唇に残るキスの感触。まるで魔法を解くキスのよう。
だけど、魔法を解いてくれた王子様は此処にはいない。
きっと、全て夢だった。
お兄ちゃんを愛した自分も、私を愛したお兄ちゃんも。全部、夢の中の出来事。
「お兄ちゃんの彼女って、私に似てない?」
「……。お前の彼氏も俺に似てる気がするけど」
「お兄ちゃんみたいな人が好きって言ったじゃん」
「俺もお前みたいなのが好きだから仕方がない」
「じゃぁ、お兄ちゃん。私と付き合っちゃいなよ」
「…生まれ変わったら、な」