ある夏の日の出来事。
僕の家では熱帯魚を飼っている。
使用している60cm水槽は人からのもらいもので、その中ではネオンテトラやコリドラスが泳いでいる。
フィルターもサーモスタットもきちんと機能し、問題なく飼育できている。
ただ、2本あるうちの片方の照明が少し調子が悪い。
スイッチを入れて、少し時間がたってから光を照らすのだ。
もう片方に比べて光量が弱めなので、夏場は温度上昇を防ぐのに重宝していたのだが。
この熱帯魚用水槽の照明について、怖い思いをしたことがある。
日もとっくに暮れて、外出しようとしていた。
もちろんのこと、きちんと戸締まりをする。
その際、水槽もチェックしておく。水温によって照明の有無を決める。
水温はそこまで上昇していない――軽く照明をつけていこう。
スイッチを入れて、すぐには照明がつかなかったが、とりあえずそのまま出かけることにする。
アパートの部屋を出て、僕はふとこんなことを思う。
帰ってきた頃には照明がついているのだろう、しかし…照明のスイッチを入れたことを忘れていたら怖いだろうな、と。
というのも、外出してアパートに帰ってきた時、外から自分の部屋がぼんやり光っているのを見るたびに、僕はいちいち驚いていた。
自分がスイッチを入れていたのも忘れて。
そんなこんなで僕は出かけた。アパートを離れたら、もう何も気にしていない。
いつものことだった。