男は、所々陥没した山道を自家用車で、緊張した面持ちで、走らせていた。
男は40代後半、少し前に、大きな地震が有り、離れて住んで居る年老いた両親が心配で車を走らせていた。
男の家は、大丈夫だったが、電話は不通、電気は停電と、地震の大きさを物語っていた。
山道を抜けると、両親の住む別荘地域が有るが、何時もは見える筈の家の灯りが、一つも見えない。
「こっちも、停電だな、大丈夫だろうか」
男の心配がピークに達した時、突然頭上から、眩しい光と、頭が割れる様な音が響き渡った。
直ぐに車を停めて、外に出ると…
円盤状の宇宙船らしきものが、車の前に降りて来たのだった。
「俺とした事が、腰は抜けたし…漏しちまった」
着陸した円盤から現れた者は、とても知的とは言えない、熊の様な獰猛そうな生き物。
こいつらが、円盤を操縦出来そうも無いな、ペットだろうか。
男が逃げ出した時、後ろから襲い掛って来た。
もう駄目だ…
と観念した時、男は、信じられ無い光景を目にした。
若かりし頃の、たくましい両親の姿。
二人は、熊の様な猛獣を薙ぎ倒し、お経の様な呪文で、円盤を破壊した。
最早、何が何だか解らない男が、両親を探したが見付からなかった。
夢だったのだろうか。
再び車を走らせたたが、男が目にした、年老いた両親の住んで居た別荘地域は巨大な地震で全壊して火の海と化して居たのだった。
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