レックス達はゆっくりと男に近づいた。 男はそれに気づき振り返った。 「…誰だ…?」 男は不思議そうにレックス達を見ている。 「俺達はフィーのことを知りたくてあんたに会いにきた。話しを聞かせてくれないか?」 「フィー…?誰のことだ?」 レックスの後ろに隠れるように立っていたフィーが前に出てきた。 「君は…確か…02…コード?02」 それを聞いたレックスは男の肩を激しくゆすりながら言った。 「お願いだ!教えてくれ!」 レックスの迫力に圧倒されたのか男はゆっくりとうなづいた。 レックスは今までのことを男に話した。 「その子はコード?02、イルバースの兵器としてつくられた。イルバースは攻撃魔法を使える人間は人工的につくれたが防御魔法を使える人間をつくりだすことができなかった。実験もすべて失敗していた。」 「でも、フィーは防御魔法を使えた。」 「そうらしいね…だからやつらは君達を血眼になって探してるんだろう。」 「フィー以外の実験体は…?」 「僕が知っているのはコード?01から?04までだ。だがイルバースは防御魔法を使える人間以外にも特殊な力を持った人間をつくろうとしていた。」 「特殊な力?」 「それは僕にも分からない」 「そうか…他に何か知ってることは?」 「…すまない…僕は下っ端だったからね」 男は微笑みながら言った。 「ありがとう、あんたのおかげで少しでもフィーのことを知ることができた。ちょっと遅いけど名前を教えてくれないか?」 レックスが手を差し伸べると男も手を差し伸べた。 「僕の名前は…」男がそう言いかけたときだった。 男は突然真っ赤な血を吹き出しゆっくりと倒れた。 「おい!どうしたんだ!?」 レックスは男のところに駆け寄ると体を揺すった。 「…僕は裏切り者だ…いつかはこうなると思っていた…最後に伝えたいことがある…」 男は息を切らしながら言った。 レックスは大きくうなづいた。 「…フィーには妹がいる…コード?…03だ…それと…お願いだ…イルバースを…止めて…くれ……」 名前も知らないその男は動かなくなった。 静まり返った工場に聞き覚えのない声が響いた。 「ラッド隊隊長ラッド、裏切り者の排除完了。次の任務は……兵器の奪還」