薄い光が森の間を縫って大地に降り注ぐ。
「はぁ!せゃあ!」
朝早く一人の少年が剣を素振りしていた。
額から落ちる汗を刃で切り払う。赤い髪がさらりと揺れる。
「はぁぁ!!っ…ふぅ…」カチンと音を起てて剣をしまう。
ここの辺りを統一するラムウールの兵士に配られる鉄の剣。
軽胸プレートを胸に着けて、膝当てと腰に下げた剣。(主人公の武器防具を変更しました)
近くの木下に座り込んで深呼吸した。木の香りと涼しい風が吹き抜けていく。
ここはラムウール兵士学校の近くの森。今月で卒業する兵士。俺、ユータ。
俺は朝いつもここで練習していた。
何かずば抜けた力があるわけではない俺。
体に宿る「気」を操り、具現化して衝撃波として放てる…聞こえはいいが、誰でも訓練すれば出来る。
それに、まだ拳サイズしか上げられないし……
そんなたいしたことない俺が、卒業するのは日々の努力の賜物だった。
「さてっと…」
立ち上がって尻をパンパンと叩く。もうすぐ歩けば学校が見えてくる。
それはまるでお城だった。城壁に囲まれたお城…これが、ラムウール兵士学校…。