‡小道‡
大吉N>こういうことが毎日のように続くと人間とは不思議なもので慣れが出来る。不良に対する免疫力が上がったとでも言うべきだろうか
(大吉、ニンマリと笑みを浮かべる)
大吉>ふふん♪アイツらもまさかここに隠し持っていたとは思いもしなかったろうな
(大吉、スボンの裾を捲り靴下の中から壱万円札を取り出す)
大吉N>厳しい生存競争の中を生き抜く為にはこういった知恵を身につけておかないと弱者は生きていけない
(後ろから声が聞こえる)
不良1>ねえ!それなぁあに?
不良2>まだ持ってたんじゃん
大吉N>迂濶だった。つけられていたとは思いもしなかった。油断は時として身を危険に及ぼすことがある。この後どうなるかなんて言うまでもあるまい。僕は…覚悟を決めた
不良1>なめたことしてくれたね
不良2>ちょっとこっち来なよ
(すると)
男>君達、何をやってるんだ!
大吉N>その声は蟻地獄の中に垂らされた一本のクモの糸のように感じた
不良1>ぁん?何やってようが関係ねえだろうが!
不良2>俺らはこいつのダチなんだよ。貸してた金を返して貰ってるだけなの!
(男は口を開く)
男>本当なのか?
不良2>そう言ってんだろうが!
男>君に聞いてるんじゃない!
そこの男の子に聞いてるんだ。本当にそうなのか?
(男は大吉を見ている)
大吉N>違う。違うんだ!コイツらはカツアゲしてるんだよ。僕からカツアゲしてるんだよ。友達でも何でもない!
(大吉、口を開く)
大吉>ち…ち…
不良1>{ぉい!
大吉>…この方達の…言う通り…です。…お金を…返してるところ…です
男>そうか。それはすまなかった
(男、立ち去る)
大吉N>絶体絶命だ。唯一助かる手段であったクモの糸を自らの手で断ち切ってしまったのだから。万事休す。僕は何て弱虫なんだ。「違う」の一言が言えないなんて…
(大吉、不良達に連れていかれる)
【1%?に続く】