ドカン・・・ドカン・・・
大きな音が聞こえる。草原には大きな穴が所々にあいている。道路沿いの草原で啓吾と翔は戦っていた。翔は怪我1つ負っていない無傷。啓吾は体のあちこちに傷を負っていた。
ドカァン・・・
啓吾は、重い足を引きずりながら翔の攻撃をかわした。
「かわされてばっかりじゃ、詰まんねーじゃん」
翔は啓吾の方に近づいてくる。
「ま。攻撃してこないなら、それでいいんだけど」
翔は、フッと鼻で笑った。啓吾は右手に力を込めて前へ突き出した。すると、翔に向かって風が勢いよく吹いた。翔は落ち着いた様子で、前に透明なシールドを作った。
ドカッ・・・
シールドに何かがぶつかった。この技は、3年前に啓吾があみだした遠くの敵に攻撃するための技だった。風とともに、前に突き出した拳の勢いが相手に伝わる。名前はラピッド・フィスト。
「へー。こんな技があったんだ」
シールドにはひびが入って、パキンと音をたてて砕けた。
「でも、啓吾に勝ち目は無いけどね」
すると、地面から砕けたシールドの破片が宙に浮いた。
「啓吾を生かしておくわけにはいかないんだ。啓吾が一番厄介なんだって。晶様が言ってたよ」
「悪いけど、俺はココでやられるわけにはいかねーんだよ!」
翔は、ニッと笑った。
「そっか・・・」
翔の周りに浮いている破片が勢いよく啓吾の方に向かってくる。啓吾はラピッド・フィストで、破片を消滅させていく。
「甘いね」
「!」
啓吾は後ろを向いた。そこには翔が立っていた。翔は、右手を透明なシールドの刃に変えていた。
「じゃーね。啓吾」
「なっ・・・!」
刃は啓吾の腹に突き刺さった。啓吾は倒れて、その周りに血が流れていった。