『・・・のん』
『・・・榎音』
誰かの声が聞こえた。榎音は、ゆっくり目を開けて起き上がった。
「榎音」
榎音の前には、女の人の姿があった。どぅやらその人が名前を呼んでいたらしい。
「貴女・・・誰?」
と、榎音が聞くとその女の人は少し驚いたような顔をしてから言った。
「天使」
「天・・・使?」
「そぅよ・・・」
すると、天使は大切そうに両手で何かを取り出した。それは花だったその花は金色に輝いていた。
「このコが、健康な体になれますように・・・」
天使は、小さい声で呟いた。すると、金色の花の輝きが増して、ピキンという音を立ててから、その花は天使の手から無くなった。
「何をしたの・・・?」
榎音は聞く。すると天使はニッコリ笑って言う。
「貴女の体を健康な体にしたのよ」
その言葉は、最初嘘だと思った。しかし、榎音はいつもと違う体の変化に気づいた。
「何でこんな事・・・」
「えっ・・・?」
榎音は、下を向いていた顔を上げた。榎音は天使を睨んだ。
「私は早く死んじゃいたいのに!!」
「榎音・・・」
すると、天使は榎音の隣に行く。
「そんなこと・・・言わないで榎音。貴女には生きてほしいの」
「イヤ。イヤだよ!私は今まで皆に迷惑かけてきたんだから!」
天使は、榎音の頬に手をやる。そして、ニッコリ笑って言った。
「それでも生きて。貴女の夢は、きっと叶うから・・・」
そぅ言って、天使は消えた。
(私の夢・・・、その1つはもぅ天使が叶えてしまったんだ・・・)
健康な体がほしい。友達と一緒に遊びたい。それが、幼い時の榎音の夢。榎音は、窓から見える月をずっと見ていた。