がさがさ…

けん  2006-10-02投稿
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僕の通う大学の裏手には、大きな山がある。

その山沿いには整備された小道が続いており、そこを歩いていくと、大学の男子寮につながっている。

 その小道、昼間は問題ないのだが、夜になるとかなり怖い。

古めかしい街灯が等間隔にならび、途中には、山の中へと入り込む坂道もある。

サークルやコンパの帰りに、その小道を通らざるを得ない時などは、いつも怖い思いをしたものだ。

 100mもない距離なのだが、気分によってはつい足早になってしまう。

 ――この小道が怖い本当の理由。

たしかに雰囲気もそうだが、小道を歩いている途中、しきりに山のほうから「がさがさ…」と音がするのだ。
 ――あるいは野生の動物がいるのか、風で草木がざわめいただけの話なのかも知れない。

 僕と仲の良い友人との間で確立した説は、この山にはチュパカブラがいる、というものであった。
 まぁそれはどうでもいいのだけれど。


後になって、学科の先輩から気になる話を聞いた。

 この大学の男子寮は、かなり古い建物で、少なくとも30年の歴史があるとのことだった。

その歴史の中では、やはり色んな出来事があり、生きることを苦に自殺した者もいたのだそうだ。

実際に男子寮に暮らす、別の先輩の話によると、こうだった。

この間、後輩の部屋の畳の下から、魔方陣の描かれた紙切れが出てきたのだ、と。

そこには血の痕のようなものが残っていたのだ、と。

他にも、このような話はごまんとあるらしい。


 小道の途中にある、山の中へと折れる坂道。

 その先に何があるのかは、誰も知らない。







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