あの時、交わした約束は変わらず覚えてくれていたのかな。
…きっと忘れてる。
覚えていたら、私達は一緒にいる事なんて出来なかったもの。
それでいい。それが、私の望んだ道だから。
ずっと一緒にいようね。
色褪せてしまった約束。思い出。だけど、この想いだけは今も鮮明に私の胸に残り続けてる。
始まりは、少し肌寒い秋の、雨が降る午後の事。
急に降り出した雨を避ける為に入った本屋さん。彼はいた。
少し濡れたスーツと髪。一心不乱に小説を読んでいる。
何の小説かしら。
気になって、私は彼に近付いた。