21世紀の森(ホラー)

けん  2006-10-04投稿
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僕が大学一年の頃、先輩たち複数とよくドライブに行った。

 「ねぇ先輩。今日はどこ行くんですか?」

 そのとき、時刻は夜中近くを指してした。
 翌日は日曜だったので、まぁ問題はなかった。

 「楽しいとこ〜」
 運転している先輩が言った。

 「へぇ」
 僕は楽しみにしながら、車窓を流れる景色を見ていた。

 それから時間が少したち、車はやがて山道に入っていく。

 「もうそろそろって感じかな」
 後部座席の、僕の隣りにいた先輩が言う。

 間もなく、山道の途中にある、駐車場のようなところへ車が入る。

 「さて着いた〜。こっから歩くんよ」

 我々、つまり僕と4人の先輩たちは、車を降りた。
 僕は、先輩たちが歩いていく後ろについていった。

 しばらくすると、公園の入口のようなものが見えてきた。

 「さぁ、遊ぼーぜ」

 なんのことはなかった。
 森の中に設けられた、アスレチックコースだったのだ。

 ただ…

 ものすごく怖い。

 それはそうだ。夜中近くに森の中にいる自分が信じられなかった。
 まるでブレアウィッチの世界ではないか。

 内心びくびくしながらも、何とか先輩たちについていく。

 街灯なんてなかった。
 そのため月明かりのもとで、目が暗闇に慣れることを待った。

 とにかく早く帰りたい…僕はそう思い始めた。

 ふと空を見上げると、満天の星空がある。
 皮肉なほどに綺麗だった。

 恐怖と安らぎが同居するその場所に、僕はしばらくうっとりしていた。

 どんどん進んで行くと、狭い道にさしかかる。
 踏み外したら、斜面を転げていってしまう。

 我々は、携帯のわずかな光で道を照らしながら歩く。

 すると、先輩たちの携帯のバッテリーが、次々と切れていくではないか。

 結局残ったのは、僕の携帯だけだった。
 当時僕は、プリカ携帯を使っていた。

 苦労しながらも、我々はようやく元の場所に戻ってくる。

 「怖かったっすね…」

 「実はそういう場所だから…言い忘れたけど」

僕が提唱する、究極の二択。

 真っ暗な森の中、一列でしか進めない道において。

一番前と、一番後、どちらが怖いのか。

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