翌日、マリアはいつものように友達と一緒に学校へ登校した。昨日の放課後、マグレスにひどい事をされても、マリアは何もなかったかの様に友達と楽しく喋って登校していたそのとき、
ヒュウゥゥゥゥゥ
強い風が彼女たちにあたる。髪がなびいて、マリアのつけていたお気に入りのリボンが空へと飛んで行ってしまった。マリアはそれに気付かず、校舎の中へと入って行った。
昼休み。
シンは校庭の木陰で本を読んでいた。さらさらと葉っぱが揺れ、静かな音色をだす。涼しげな空気、意心地の良いシンの居る木は、「プラタナス」と読んでいいだろう。
「シン!!」
誰かに呼ばれ、シンは振り向いた。と、そこにはシンの憧れている少女、マリアがシンの事を呼んでいたのだ。ドキンとシンの胸は高まり、止まらなかった。マリアはシンの所へ走って行こうとしたその時、
―シンとはもう関わるな。
マグレスの声が頭の中で響いた。一瞬足が止まり戸惑った。あの時の放課後のようなひどい事、もう二度とやられたくない。でも、
きょろきょろとマリアは校庭にマグレスが居ないか確かめる。シンはマリアが何をやっているかよく分からなかったがマリアがシンに用があるということなら変わりない。
―良かった。マグレス居ないみたい。
マリアはマグレスが校庭に居ないと確認したとき、ホッと胸を撫で下ろした。そして再びシンの所へと近づいた。