どす恋?

けん  2006-10-05投稿
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 衝撃の朝食を終え、僕たちは一旦部屋へと戻る。

 ヒロキは妙に元気な様子で、朝食時の出来事を周りに話しだす。

 「俺、南さんと朝から間接キスしてもうたわぁ〜」
 鼻の下が伸びている。
 伸びたまま戻らなかったらいいのに。

 「ほんまけ?やるやんヒロキ。うかうかしとれんな」
 ライバルたちは明らかに動揺しはじめる。

 僕はひとこと補足してやりたかった。
 半ば強引だったよ、と。

 しかし、ヒロキは勢いづく。

 「コクる時のセリフとかポーズ考えなあかん。この帽子は絶対いるわ」
 取り出した帽子は、ウォークラリーの時にかぶるものだった。

 何の兆しも前フリもなしに、ヒロキは帽子をさっと斜めにかぶり、つぶやく。

 「南…燃えたろ?」
 意味が分からない。

 いや、正確に言うと意味は分かった。
 当時そういうのが流行っていた。
 格闘ゲームに出てくる、クールなキャラクターだ。

 「ヒロキ…お前」
 周りから声が漏れだす。 
 そうだ、思いきり小バカにしてやれ。

 「かっこええ!俺もやろっ!」
 …そんなバカな。

 皆のテンションがうなぎ昇る。
 ヒロキが何人もいるかのようだ。
 僕はどうしたかというと…

 やはりそそくさと帽子を取り出し、やった。

こういう場である。
 シラけるよりかは幾分ましなのだ。

 しかし、序盤から飛ばすヒロキ。
 はじまったばかりの林間学校。

 この二つを勘定してみて、どうしても嫌な予感を隠し切れない僕だった。

      続く

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