中学の頃、自習の時間に国語の先生が語ってくれた怖い話。
ある夏の日、先生は遅くまで学校に残っていたそうだ。
外はすっかり薄暗くなってきており、部活をしていた生徒もほとんど校内にいない。
とはいえ、いつまでも校内に残っている生徒がいないかどうか、先生はチェックをしようと思った。
三年生の教室、つまり三階にある教室だけだが。
先生は順番に教室を回っていく。
3―1…
3―2…
教室内をざっと見渡した。
誰も残っていない。
よし、次。
3―3…
3―4…
あれ?待てよ。
3―3に誰かいたような気が…
先生は気になって、3―3の教室に引き返す。
やっぱりだ。
いた。
「おーい、いつまで教室おるんや。はよ帰らなあかんで!」
教室のドアのあたりから声をかける。
返事はなかった。
薄暗い教室内に目をこらしてみると、どうやら、髪の長い女子生徒らしい。
椅子に座り、机にほおづえをついている。
もしかして泣いているのだろうか…?
なんとなく先生はそのように思い、ひどく叱ろうとはしなかった。
代わりに、心配そうに女子生徒の席まで近寄る。
「大丈夫か?」
やはり返事がない。
「一体どうしたんや…?」
顔を覗きこんだその瞬間、先生は凍り付いた。
後編に続く