マリアの姿でも見ただけで逃げようとしたが、今では積極的に行く。「マリア!」
シンがマリアを呼んでもマリアは振り向きもしなかった。
「?」
シンはもう一度呼んでみようとした。
「マリア!!」
力強く叫んでも気付きもしない。というか、無視している感じであった。
この頃シンは、昔はなのに、何故マリアは無視するのか。シンは不思議でたまらなかった。
昼休み。
今日のシンはいつものように大好きな木陰で本を読もうとはしない。マリアがいつもいる踊り場に向かった。階段をおりて行くとやはり女性達の居る中、マリアの姿が見えた。
コツコツと下へおりてくるシンに女性達、マリアも気付かない。
ガシッ
急に腕を捕まれたマリアはビクッとし、振り向いた。
「シン・・・。」
頑張ってシンの手を離そうとしている。でもやはり男の力にはかなわなかった。
「離してよシン!」
こんな姿、マグレスに見られたらどうしようと思い、さらに必死にもがく。
「どうしたのよ二人して・・・。」
「そうよ。シン君もマリアもおかしいわよ。」
女性達が二人を止めようとしてもお互い言う事を聞かなかった。
「シン君もいい加減にして!マリアが嫌がってるでしょ!!」
「マリアもマリアよ!!どうしてそんなに嫌がるのよ!」
シンは本当はこんな事は出来ればしたくなかった。でも、こうしないとマリアに近づけない。
「マリア・・・・。」
切ない顔でシンはマリアを見つめる。何故怒らないのだ。いくら嫌がっていたマリアでもこれ以上シンに反抗できなかった。
ピタリと動きを止めた。が、シンはマリアの瞳を見つめているが、マリアはシンの瞳を見つめることは出来なかった。
辺りはしんと静まった時、
グイッ
シンはマリアの腕をひっぱり何処かへ連れて行こうとした。
「何するのシン!!」
「こっちへ来て!!」
シンがこんなに強く言うのは初めて聞いた。昨日のせいであろうか。また怖くなってきた。だが、ここで逃げたらと考えるとシンもマグレスのように怒ると思ってしまい、シンの言う事に従った。