シンとマリアの着いたところは誰も居ないベンチであった。
シンはマリアをベンチに座らせ、右腕はマリアの左腕をつかみ、左腕はマリアの腰をつかんでいた。
「マリア、どうして俺の事無視したの?」
「・・・・。」
上手く話せない。どう言い訳すれば良いのか。どう嘘をつけばいいのか。マリアは戸惑っていた。
「嘘とか、言い訳とかつかないで。マリア。」
心を読まれたかのように思えビクッとした。それでも答える事ができない。答える事が出来なかったら今度は暴力をふられるかと思い、目を閉じてシンの視線を離す。
嫌がっているマリアを見てますますシンの顔は切なくなる。マリアにはそんなシンの表情なんて見れない。
フワリ
何かを感じた。「あれ?」と思いゆっくりと目を開けるとそこにはマリアの肩にシンの頭があった。シンが息を吹きかける度にマリアの首にあたり感じる。
「・・・・ッ・・・・。」
声に出せない感じる声。だが何も反抗はしない。だんだんと力が抜けていき、マリアの右腕が勝手に動いたかのようにゆっくりとシンの頭を撫でる。
シンもずっとつかんでいたマリアの左腕を離していった。左腕は今度はマリアの首に触れる。触れる度に冷たい感触がくる。
「・・・・あ・・・・ああっ・・・。」
振られる度に背中がゾッとくる。体がピクピクと動く。
ちらりとシンはマリアの右腕を見ると傷のような跡があった。ガシっと右腕を捕まれたマリアは昨日傷つけられた腕を見られてしまったと気付き、バッとシンの腕を離す。
「どうしたの?腕・・・。」
マリアを見つめるシンを見てマリアはドギマギした。