ケタケタさん 完結

けん  2006-10-07投稿
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女子生徒は泣いていたのではなかった。

 ただじっと、前方を見据えている。
 ちょうど教卓のあたりだ。

 先生はその場から動けないでいた。
 あまりの恐怖に、言葉すら出ない。

 その女子生徒の目が、不気味なほどに大きかったのだ。

 およそこの世のものとは思えないその目が、不意にゆっくりと動きだす。

 先生は急いでその場を去りたかった。

 しかし、目が合ってしまった後では遅すぎた。

 先生は目をそらすことができず、その場から離れることもできなかった。

 体からは嫌な汗が吹き出てきた。

 少女は依然、机にほおづえをついたままで、先生の目を見つめる。

 その時だった。

 ニタァ…

 女子生徒は奇妙な笑顔を浮かべたかと思うと、座っていた椅子から教室の床にくずれおちた。

 そしてそのまま床を這い、教室のドアを出て、廊下をすさまじい速さで這っていったのだ。

 机にほおづえをついていたのと同じ態勢のまま、ひじだけで。

 廊下にはしばらくの間、かん高い笑い声が響いていたという。

 ケタケタケタケタケタケタ…


 ここまで話し終えると、先生は急に神妙な顔つきになった。

 「それでな、その女の子が座ってた場所っていうのが…」

 僕たちの今いる教室は3―3だった。

 「ちょうどお前が座っとる、その場所や」






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