結論をいうと、僕と南さんとが、どうこうなることはなかった。
初恋は実らないと誰かが言ったが、それにすっかり当てはまる結果となる。
あれから僕たちは中学校にあがり、ヒロキとの腐れ縁はなおも続いた。
中学3年になると、また奇しくも一人の相手を二人で争うことになるのだが…
それはまた別の話。
中学生の南さんは、誰か他の人に恋していたようだ。
だからじゃないが、僕は次第に南さんのことを想わなくなっていった。
あの林間学校の後、学校でよく井上さんにつつかれたものだ。
「南のこと好きなんやろ?ヒロキから聞いたで。何か行動起こしぃや〜」
要するに僕は…
初恋の相手を首尾よくかっさらうほど器用ではなかった。
シャイだったのだ。
『好きな子に対してつい意地悪をしてしまう』
巷にはそんなやつもいたそうだが、僕はそのタイプではなかっただけの話だ。
畜生。
高校になると、みんなそれぞれ離ればなれになった。
ある日、風の噂で南さんの近況を聞いた。
高校にあがるとすぐにヤンキーになったのだそうだ。
その豹変ぶりはすごかったと、見た者はいう。
ヤンキーになった、か…
まぁよくある話なのかもしれない。
そんな彼女が現在何をしているのかは、全くわからない。
また、知る由もない。
もうすぐ社会人になる僕。
みんなそれぞれに、長い人生の先へと進んでいくのだろう。