叶呼『……様子はどう?』
微かに声が震えている…。
貴博『現在10時半。こちら異常なし』
叶呼『そう…ごめんね、こんなこと頼んじゃって…』
貴博『気にすんな、他ならぬ叶呼嬢の頼みだ』
それに…望のことが知りたい。
叶呼『…昨日ね…あのメールがきたあと…家の前で誰かがこっちを…見てたの…』
泣き声になっている。
そうだ。メールくらいで叶呼がここまで真剣に相談してくるとは思えない。
貴博『それは、何時頃だ?』
叶呼『十一時…』
女の子ならば当然身の危険を感じてしまうに違いない。
しかもなんらかの理由で身内に相談できない状況…。
貴博『安心しろ』
そう言って電話をきった。
もっと気の利いたことを言ってやりたかったがそうも言ってられないらしい。
貴博『いつの間に?』
居るのだ。
叶呼の家の前にたたずむ…恐らく昨日と同一人物の奴が…。
暗いので良く見えないが、性別は恐らく男。
身長百七十cm弱の標準的な体型。
貴博『お前…誰だ?』
近付いて声をかけた。
男『ア?』
男が振り返る。
貴博『…』
男の顔にはジェ○ソンと同じホッケーマスクがつけられていた。
男『オマエ…ダレダ??』
貴博『俺は単なる通行人。で、お前は誰だ?』
男『アぁ…オレは―』
男が胸ポケを漁る。名刺でも持っていると言うのだろうか?
男『通りすがりのジェイ○ソンです』
そう言った男の手には…
貴博『!?』
催涙スプレー!?