キスとの距離(2)

大塚楓  2005-12-23投稿
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窓を見ると、雨が降っていた。
東京タワーが今にも泣きそうに見えた。
カーテンを閉めようとしたら、そこには君がいた。
あの人と傘をさしながら歩いていた。

僕と同じ優しい笑顔で話している君を見ていると、チクッと胸が痛くなった。
そこには僕が入る込める場所がなかった―・・
そんな君を見ていると、君に逢いたくなった。

今すぐにでも君に逢いたい。。雨の中を君の腕を掴んでこのまま
何処か遠くに連れて行きたい。
今の僕には、それが出来なかった・・

”君の悲しむ顔は見たくはなかった”から。
君の左手を見ると、シルバーの指輪がしてあった。
あの人の物だと、実感してしまう。

孤独なプライドが、僕を何度も突き刺さってしまう・・
窓から見える君は、とても幸せそうでその姿を見ると
涙を流してしまった。

その涙は止まらず―・・どうか、夢であって欲しいと何度も願った。
願っていると、君と目が合った。
涙を流している僕を見ると笑顔を見せた。

穏やかなその笑顔を見せた。
その笑顔が、僕にとっても一筋の光に見えた。
あの人と去って行く姿をずっと見ていた。

指でそっと君に触れると、窓に顔を埋めそっとキスをした。
愛しい人の名前を何度も呼んでも君には届かず
「行かないで・・」
と何度も呟いた。

君が去った後を見ると、東京タワーが立っていて
雨に打たれながら、立っている東京タワーはまるで
泣いている僕のようだった・・



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