第01章・・ハイデン
ここハイデン国は様々な力を操り、力ではどの国にも勝る大きな国だ。だが、約100年の月日と共に内戦が続き、小さな村は飢え、ハイデンの民はまとまりを無くしていた。
そしてこのハイデン国で、1人の少年の長きに亙る冒険が始まる。
第01話「始まり」
ハイデンの東にある村ミルド。人口はわずか50人余りの小さな村だ。ミルド近辺には野党が増え、村人達は静かに息を殺し細細と暮らしていた。
2人の男が椅子に座り木の机を挟み向かい合い険しい表情をして話しをしていた。
「今日村の南にある橋で村人が野党を見掛けたらしい」
「!!・・すぐ近くじゃないか」
「ああ。だからカイ用心した方が身の為だ。今日はヤンチャ小僧も家から出さない方がいい」
「ああ。分かった」
1人の男が椅子から立ち上がり家から出て行くと、もう1人のカイと呼ばれた男は素早く立ち上がり奥の部屋の戸を開けた。
「サキ!!」
「どうしました??」
サキは振り返り赤子を抱いたまま振り返りカイを見た。
「・・ルキはどうした??」
「えっ!?そう言えば先程から姿を見ていません。きっとまた外に・・」
「!!いいかお前は必ず家の外へは出るな。分かったか??」
「分かりました」
「俺がルキを連れ帰るまで、お前はユキの面倒を頼む」
そう言うとカイは勢いよく家から出て行った。
その頃村から離れた草原で1人の少年は空を見上げていた。
「・・何で今日は皆来ないんだよ。つまんねぇ〜な!!」
少年は寝転がったまま空を見つめた。空には1つの飛空艇が飛んでいた。少年は飛空艇を見つけると立ち上がり飛空艇を指差した。
「あれっ!!空賊だっ!!・・・・かっこいいなぁ」
少年は暫くの間、飛空艇を目で追っていた。
ガサッ!!
いきなり物音が聞こえて少年はそのままの体制で固まった。
「・・・・シュウか??ノゾムか??」
何度も友達の名前を呼ぶが返事も無い。
ガッ!!
「うわっ!!!!」
いきなり少年は肩を強く掴まれて後ろを振り返った。
「!!・・何だ父さんか」
そこにはカイが息を切らしながら立っていた。
「ルキ今すぐ家に帰るぞ」
「えぇ!?何でだよ。まだ空はあんなに明るいのにっ!!」
「明るいわけが無いだろう。もう日はとっくに暮れた」
「じゃあアレは??」
ルキはゆっくりとカイの背の向こうを指差した。カイは呆れながら振り返った。