満月の夜。一人の少女が路地裏を歩いている。長い黒髪、緑色の目。学生だろうか、制服を着ていた。そんな少女の後ろに、黒い物が立ち上った。そしてそれからは曲がった手と怪しく光る目が現れ、少女に伸びる。「………。」少女の緑色の目が、瞬間金色に変色した。 ―スパンッ 黒い物の動きが止まり、その右腕が落ちた。黒い物が雄叫びを上げる。少女が冷たいまなざしをソイツに向けた。「情けないな、お前、それでも怨怪か?」黒い物―怨怪が少女に襲いかかるが、少女はかがんでその攻撃を避け、怨怪の腹を真っ二つにした。黒い物が崩れる。「憐れな者よ、裁かれるがいい。」とどめを刺すように、少女は刀を怨怪に向けて振り上げた。怨怪は一瞬フラフラと揺れたが、やがて黒い液体となって弾けた。「これで今夜10体目…ここは本当に怨怪が多いな。」少女はそう言うと刀に付いた黒い液体を払うように刀を振った。「いつでも来い、叩き斬ってやる。」少女の黒髪が、夜に栄えた。