天使のすむ湖71

雪美  2006-10-09投稿
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シャワー室に桜井といくと、先に俺が入ると、後から桜井がきて、お湯を出し始めたら裸のまま後ろから、奴に抱きつかれた。
「ひっ、やめろー変な冗談は〜」
俺が抵抗すると、
「このままでいいから、聞いてほしいんだ、これ以上は何もしないから頼むよ。」
桜井にそう言われて、抵抗をやめるが、まだ俺は警戒心が解けなかった。
「お前が香里さんを愛してることも、大島さんを待たせてあることも、全部承知ので言うけど、俺は女じゃないから、お前に頼って生きたりはしないよ、それは約束する。」
「うんっ」
小さく俺はうなづき、それが精一杯だった。シャワーの暖かさが心地よいなかで、桜井は続けて
「俺は、弁護士になって、独立できるめどがたったら必ずこの町に戻ってくる、そしたら、お前の夢のホスピスを作るために、協力したいんだ。いいだろう、それなら・・・」
「こんな格好で言うことかよ・・・」
と切り返すと、
「裸を見たら、押さえが利かなくなったんだ。すまない。」
申し訳なさそうに、ぱっと離すと桜井は正面に回り
「それならいいだろ?」
と肩をつかんで言うので
「いいも何も、桜井弁護士に法律問題は相談するよ、だからいい加減離せよ。いちいちつかむなよー」
桜井の指が肩に食い込んでいた。
「ごめん・・・」
「約束するよ、俺もお前が相談役になってくれれば心強いからな・・・」
桜井はほっとしたように、
「よかったー拒否されるんじゃないかと思って悩んだんだぞ〜」
ニヤニヤしながら、髪や体を洗い始めた。
奴はとにかく、すぐに学校内でも抱きつくくせがあり、そのおかげでどれだけ冷や汗たらしたかわからない、しかもこんな裸で、襲われるんじゃないかと、身の危険すら感じていた。俺が怯えた顔をしてると、
笑いながら
「襲わないから心配するなよ、俺は、お前が好きだけど、襲ったりはしないから心配するな〜」
とさっさと洗うと出て行ってしまった。
なんて奴だ、優しいんだか、優しくないんだか、俺にも、協力者が出来たのは嬉しいことだったが、奴には驚くばかりだった。



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