「はい…」
『私も詳しい事は知らされてないが…君達のエング星は…エブニー星に襲われたんだね?』
「はい…」
『エング王は君達だけでも助けようとあの宇宙ボートに乗せた…というわけか』
「はい…」
『エング星がどうなったか知ってるかい?』
「……はい」
テシは全て悟っていた。エング星はエブニーによって爆破されたことも、エング王は殺されたということも…。
『エブニーの奴らは熱狂的なアダム信者で、昔からよく色んな星に戦争を仕掛けてたけど…ついにここまで…』
サリは大袈裟にため息をついた。
「コウ殿…貴方はアダムを倒しに行くのか?」
ふいにテシに話を振られる。
「え…あ、うん」
「…私にも協力させて頂けないだろうか」
「え!?」
「我が国が破壊された元凶はアダムにある…私は決して奴を許せない…そして…このような悲劇を二度と繰り返してはいけないんだ…」
唇を噛み締めるテシの瞳は、強い意志でギラギラと輝いていた。その瞳に、コウは恐怖心さえ覚えた。
「お話中すいません。テチ様のご容体が回復いたしました」
気付くと扉のところに白衣を着た小人が立っていた。
「なんだと!」
テシは一目散にテチが運ばれて行った部屋へと走った。遅れてコウとサリも後を追う。
テチは真っ白な台の上に横になっていた。毛布の代わりに、台の端から放射されている光がテチの体を包んでいる。この部屋にある物は全てが真っ白で、様相は地球の病室とあまり変わりない。
「度重なるショックと疲労による体調不良のようですから、少し休めば大丈夫ですよ」
白衣の小人が説明する。
「テチ、大丈夫か?」
テシは台の横に座り、テチを安心させるように頭を撫でた。
「大丈夫だよ。心配かけてごめんね…兄ちゃん」
「お前が無事なら良いんだ。ゆっくり休め」
「兄ちゃん、ここはどこ?後ろの人達は誰?」
テチがコウとサリを指差す。
「こちらは戦いの神・サリ殿とあの有名なルコフィエルの生まれ変わり・コウ殿だ…二人が我々を助けてこのメリード星へ運んでくれたんだ」
「そうかぁ…はじめまして、エング星エング十五世の第二王子テチです。」
テチは体を起こして会釈した。
『寝たままで大丈夫だよテチ王子。私がサリです。この子はリーサ』
サリも会釈をしつつ、リーサの頭を撫でた。
「えっと…コウです。よろしく。」
テチは二人を交互に見てにっこりと微笑んだ。